ランダムウォークとは

ランダムウォーク(random walk)は、次に現れる位置が確率的に無作為(ランダム)に決定される運動である。乱歩(らんぽ)、酔歩(すいほ)の位置の軌跡を表わす。

ウィーナー過程はブラウン運動の数理モデルであると考えられ、しばしばウィーナー過程自身をブラウン運動と呼ぶ。

  • ウィーナー過程はホワイト・ノイズの積分を表すものとして用いられ、それゆえに電子工学におけるノイズ、フィルタリング理論における機器誤差、制御理論などの数理モデルとして有用である。

数学的定義

Xn (n = 1, 2, ...) を独立かつ同分布な実数値を値にもつ確率変数とする。 このとき,Xn+1=X0+x1+x2+....+xn の確率変数を考える。このXnを、ランダムウォークと呼ぶ。 独立かつ同分布であるので,Xn+1の確率分布は

p(x0)P(x1)....P(xn)

であらわされる。

  • コインを投げて「裏と表が出る確率」は、共に二分の一である。コインを投げて表が出た場合に点を右(正の方向)に+1進め、裏が出た場合に点を左(負の方向)に-1進める試行は、1次元のランダムウォークである。これを無限回繰り返した場合に、点がある位置xに存在する確率は正規分布で示される。これは、中心極限定理による。
    P(xi=+1)=1/2
    P(xi=-1)=1/2
    であるので P(xi)=(1/2)^[(xi+1)/2](1/2)^[(1-xi)/2]で確率が表わせる。 この時、n回目の位置xnの、確率密度関数は次式であらわせる。
    P(xn)=p(x0)P(x1)....P(xn)
         =(1/2)^[Σ(xi+1)/2](1/2)^[Σ(1-xi)/2]
  • Xiが、正規分布の場合も、仮定より、Xn+1=X0+x1+x2+....+xnがまた正規分布となり、同様の議論が成り立つ。

ウィーナー過程 Wt は次の三つの条件

1.W0 = 0
2.Wt はほとんど確実に(確率 1 で)連続である。
3.Wt は独立増分を持ち、0 ≤ s < t なる任意の s, t に対して、Wt − Ws は正規分布 N(0, t − s) に従う。Wt=Wt-W0=BtでBtはN(0,t)に従う。
  • 以下のように定義される確率過程
    Xt = μt + σWt
    はドリフト項 μ と無限小分散 σ2 を持つウィーナー過程と呼ばれる。

資産の収益率のブラウン運動

幾何ブラウン運動 (geometric (fractional) Brownian motion (GBM)) は、対数変動が平均μ分散σのブラウン運動にしたがう連続時間の 確率過程で、金融市場に関するモデルや、金融工学におけるオプション価格のモデルでよく利用されている。

  • GBMの増分が 資産価格 St に対する比として表されることから幾何(geometric)の名称がつけられている。
    dSt=μSt dt + σSt dBt
    dStは 増分。 例:金融商品の価格の増分。
    dBtはブラウン運動の増分。Btは平均 0 分散 1 のガウス分布
    μは(現在の St に対する割合であらわした)平均。原資産価格 St の期待収益率(定数)。
    σは(現在の St に対する割合であらわした)ボラティリティ。
    両辺を、Stで割れば、上記の確率微分方程式は次のように書き換えできることに注意
    d(logSt)=μdt + σ dBt
    初期値を S0 とすると、解は次のように表せる
    St=S0EXP{(μ-σ^2/2)t+σ Bt}
  • 性質
    • 幾何ブラウン運動の確率変数 log(St/S0) は、平均(μ-σ2/2)t 分散 σ2t の対数正規分布にしたがい、その平均と分散は以下のように表せる。
      平均:E(St)=EXP(μt)So
      分散:Var(St)=EXP(2μt)So^2{exp[σ^(2t)]-1}
    • ブラック・ショールズ方程式などのモデルでは、上のように原資産価格はボラティリティ σ を定数とする幾何ブラウン運動に従うと仮定している
    • ブラック-ショールズモデルとは、1種類の配当のない株と1種類の債券の2つが存在する証券市場のモデルで、時刻 t における株価 St と債券価格 Bt が
      dlogSt = σdWt + μdt
      Bt = exp(rt)
      μ は原資産価格 St の期待収益率(定数)
      σ はボラティリティで定数
      dWt は平均 0 分散 1 のガウス分布
    • ここに、Wt は標準ウィーナー過程 、r, σ, μ は定数で、r は無リスク利子率、σ をボラティリティ、μ をドリフトという。 ボラティリティは株価の変動の激しさを表し、ドリフトは株価の平均増加率を表すと解釈できる。
    • 株式の保有量と同債券の保有量を決めて(株式と債券の取引戦略)、将来のある時点で株式を売る権利の価格(または買う権利)を決めることができる。この価格公式をブラックショールズのオプション価格公式という。

参考


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Last-modified: 2010-09-26 (日) 16:43:00 (3314d)