アポロニウス †
ギリシャ植民地イオニアのペルガ(現在はトルコ領)に生まれ、エジプト、アレキサンドリアに死す。『円錐曲線論』。hyperbola双曲線, ellipse楕円, parabola放物線、という言葉を与え、個々にあった円錐曲線の理論を、円錐の断面として統一した。横座標、縦座標の言葉と共に、彼の2次曲線に関する業績は、後のデカルト・フェルマの解析幾何を導いた。アポロニウスの問題(円の接触問題)。
アルキメデスに続き、ギリシャ語の記数法を改良した(大きな数を表わすため)。天文学者としては、惑星運動の体系として、エウドクソスなどの使用した同心球系に対して、周転円運動系と離心運動系を提唱し、プトレマイオスの『アルマゲスト』を通じて天動説理論の標準として長い間採用された。
ギリシャの数学者・天文学者である。
著書『円錐曲線』(Conics)で円錐の断面について詳細な研究をおこなった。円錐の断面の図形に3つの異なる図形-楕円(ellipse)、放物線(parabola)、双曲線(hyperbola)があることを示した。「アポロニウスの円」や「アポロニウス問題」に名前が残されている。
アポロニウスの定理 †
- 2つの定点 A 、B からの距離の比 m : n (≠ 1) が一定であるような点 Pは、線分 AB を m : n に内分する点 C と外分する点 D を直径の両端とする定円周上にある。
- 証明1
「ある2定点A,Bと、他の一点Pをとり、三角形PABの頂角である角Pとそ
の外角の二等分線それぞれと直線ABを交わらせることにより二点C,Dをとる。
すると、三角形PCDで円周角の定理を用いることによって、CDを直径とする円
周上をPが動く」ことで証明
- 証明2
「ある2定点A,Bの座標を確定し、(置き、)距離比から関係を求め、距離を
数式化することによって新しい関係式を求めて円の方程式が導き出される」ことで証明
「2つの定点A,Bからの距離の比が"m:nである点の軌跡がアポロニウスの円であるが、その中心は線分ABをm2:n2に外分する点である。」
円、楕円、双曲線 †
2定点までの距離の和が一定である点の軌跡は楕円,2定点までの距離の差が一定である点の軌跡は双曲線,である
- 2次の多項式f(x,y)=0すなわち楕円,放物線,双曲線のいずれかは円錐を平面で切断したときの切り口として現れる
アポロニウスの円 †
ΔABCにおいてB,Cからの距離の比がAB:ACに等しい点の軌跡,C,Aからの距離の比がBC:ABに等しい点の軌跡,A,Bからの距離の比がAC:BCに等しい点の軌跡は一般に円になりますが,この3円(ka,kb,kc)をΔABCのアポロニウスの円という。
- 外接円と直交する
- 中心は一直線上にある
- 外接円の点Aにおける接線と直線BCとの交点は円kaの中心である
- 3円は2点で交わる(等力点という)
円錐曲線 conic curve †
- O.ノイゲバウハー(1990)は、古代ギリシア人たちが日時計について探究する過程で、円錐を切断し、円錐曲線を得たのだと考える。
- 楕円は(双曲線もまた)無限の大きさを持った円錐の切断図形である。そのような楕円(双曲線)を作る円錐の頂点は双曲線(楕円)の焦点を与える。すなわち、(それぞれの曲線を作る)円錐の頂点と(他方の)曲線の焦点とがそれぞれ垂直な平面上に入れ替わるように位置している。
円錐曲線と2次曲線 †
- 円錐曲線は、xy-平面 R2 上で定義され、次の陰関数曲線によって与えることが出来る。
- Ax2 + Bxy + Cy2 + Dx + Ey + F = 0 with A, B, C not all zero.
- if B2 − 4AC < 0, the equation represents an ellipse (unless the conic is degenerate, for example x2 + y2 + 10 = 0);
- if A = C and B = 0, the equation represents a circle;
- if B2 − 4AC = 0, the equation represents a parabola;
- if B2 − 4AC > 0, the equation represents a hyperbola;
- また、任意の2次式 P(x,y) に対し、P(x,y) = 0 が円錐曲線になることから、円錐曲線は二次曲線とも呼ばれる。
- 任意の円錐曲線は、適当に直交変換することによって、次の形のいずれかに変形することができる
- 円(全ての母線と交わり、底面に平行な平面で切断)
- 楕円(全ての母線と交わり、底面に平行でない平面で切断)
- 放物線(母線に平行な面で切断)
- 双曲線(母線に平行でない平面で切断)
- 二直線(軸を全て含む平面で切断)
パスカルの定理 †
円に内接する六角形の相対する3組の辺の延長の交点は1直線上にある
重力圏とアポロニウスの円 †
- 重力の大きさは物体の質量に比例し距離の二乗に反比例するから、2天体の場合、重力圏の大きさの比はその質量比の平方根となる。
- 太陽と地球の場合、地球の質量比はおよそ太陽の33万分の1、重力は距離の二乗に反比例するから、質量比の平方根に1AU(=1億5000万km)を掛けて、地球重力圏の半径はおよそ26万kmとなる。月の軌道半径は約38万kmであるから、月は地球を中心に公転してはいるが、地球の重力圏の外にあることになる。(このため月は地球の衛星というよりは、地球と軌道を共にする惑星とも見ることができ、地球-月の系は「連惑星系」であるとも言われる。)
- 月の引力圏は、ER:MR=9:1となるアポロニウスの円の内部になる
極座標による円錐曲線の表示:離心率 †
- 平面上に、直線 l と、その直線上に含まれないような点 F を取る。直線 l 上で点 H を動かすとき、その直角位置上で PF:PH = e:1 (e > 0) を満たすような点 P の集合は円錐曲線を描く。
- この時、PF と PH の比 e を離心率といい、直線 l を準線、点 F を焦点という
- 焦点 F を極とする平面極座標 (r, θ) を新たにとれば、動点 P の軌道は
- r(θ)= l/(1+e・cos(θ)) ただしr は線分 PF の長さ、θ は線分 PF が x 軸となす角度
- e と l という2つのパラメタによって、楕円・放物線・双曲線の3種の円錐曲線のいずれかになる
- 0 < e < 1: 楕円
- e = 1: 放物線
- e > 1: 双曲線
- l は半通径または半直弦と呼ばれるパラメタで、焦点 F から準線 l までの距離に離心率 e を掛けたもの
参考 †