この文書の現在のバージョンと選択したバージョンの差分を表示します。
両方とも前のリビジョン 前のリビジョン | |||
math:天文学と数学 [2017/01/12 ] N_Miya |
math:天文学と数学 [2017/03/10 ] (現在) N_Miya [アイザック・ニュートン 1642 - 1727] |
||
---|---|---|---|
ライン 74: | ライン 74: | ||
万有引力の法則に関して、古い伝記などでは「庭にあるリンゴの木からリンゴが落ちるのを見て万有引力を思いついた」とするものが多かったが、基本的にウールスソープ滞在当時の文書記録や物証があるわけではなく、はるか後に(ロバート・フックと、万有引力に関して先取権争いのいざこざも生じた後に)そうだった、とニュートンが知人や親類などに語った話などがもとになって流布した話にすぎない。つまり利害関係者当人が語る話やその伝聞の類にすぎず、内容に関しては真偽が不明である。 | 万有引力の法則に関して、古い伝記などでは「庭にあるリンゴの木からリンゴが落ちるのを見て万有引力を思いついた」とするものが多かったが、基本的にウールスソープ滞在当時の文書記録や物証があるわけではなく、はるか後に(ロバート・フックと、万有引力に関して先取権争いのいざこざも生じた後に)そうだった、とニュートンが知人や親類などに語った話などがもとになって流布した話にすぎない。つまり利害関係者当人が語る話やその伝聞の類にすぎず、内容に関しては真偽が不明である。 | ||
+ | 微積分を駆使して宇宙の真理に到達したニュートン | ||
+ | ニュートンが万有引力の法則を発見するまで、微積分をどのように使ったかを見ていきましょう。 | ||
+ | |||
+ | ニュートンは、ケプラーの第2法則から、惑星には常に太陽からの引っ張る力が働いていることを、積分の考え方を用いて証明しました。 | ||
+ | |||
+ | ケプラーの第2法則とは「面積速度一定(一定時間に太陽と惑星を結ぶ線が描く軌跡の面積は等しい)」というものです。図で惑星がAにいて、A1の方向へ動こうとしているとします。惑星に外から何の力も加わらなければA1に動きますが、実際にはBへと動きました。描く軌跡はOAが共通なので、面積速度一定を満たすためには、三角形OAA1と三角形OABの高さが同じでなければいけません。そのため、公転する惑星には原点Oに向かう以外の力がかかってはいけないことになります。 | ||
+ | |||
+ | そして、AとA1の距離を縮めて、限りなく0に近づけると、実際の公転軌道にあてはまります。積分法の考え方を用いることで、面積速度一定から太陽の引力を示したのです。 | ||
+ | |||
+ | また、ニュートンは、惑星がその公転軌道の中心に向かう加速度(速度の瞬間的な変化のこと/速度を微分して求められる)を、微分法を用いて算出し、ケプラーの第3法則と併せることで、引力が距離の2乗に反比例することも導き出します。 | ||
+ | |||
+ | 惑星の位置ベクトルは、公転半径r、公転周期Tで表される時間tの関数になります。この位置ベクトルを2回微分すると、惑星の加速度が求められ、これは に比例する式になります。この計算結果に、ケプラーの第3法則「惑星の公転周期Tの2乗と公転半径rの3乗は比例する」を当てはめると、 に比例するという結果が得られます。rは惑星から太陽までの距離ですから、太陽が惑星におよぼす引力は、距離の2乗に反比例していると証明されるわけです。 | ||
+ | |||
+ | これらの計算結果から、どの惑星も太陽からの引力を受けていて、その力は太陽までの距離の2乗に反比例するという法則が導かれました。この法則は、太陽と惑星だけでなく、惑星とその衛星など、あらゆるものにあてはまりました。 | ||
+ | |||
+ | ニュートンが導き出した万有引力の法則は、アルバート・アインシュタインが登場するまで、物体の運動をもっとも正確に説明する理論として君臨し、現在でも、一定の条件下では十分有用なものです。そして、その理論は数学を駆使することで導き出されたものだったのです。 | ||
## ダランベール 1717-1783 | ## ダランベール 1717-1783 |