2012年にITガジェットの時代が始まった

2012年にITガジェットの時代が始まった

不況下にもかかわらず、アップル、Facebookなどのガジェット関連企業が元気です。

最近のニュースでは、企業の[時価総額ランキング](http://marketgeek.net/ja/all/)を見れば

1.世界一の企業価値は、アップル社であり、石油のエクソンを追い抜いてしまった。アップルの時価総額が4148.3億ドル(32.4兆円)になり、世界一位にある。米国時間1/24発表されたAppleの第1四半期の好成績に市場が反応した結果である。

2.フェイスブックは米国時間2/1夕、新規の株式公開(上場)を米証券取引委員会に申請した。インターネット関連企業としては過去最大の株式公開となる見通しである。時価総額は最大1千億ドル(約7兆6千億円)にのぼるとみられる。この額を日本企業と比べると、1位のトヨタ自動車(約9兆6千億円)に迫り、2位のNTTドコモ(約5兆9千億円)を上回る規模になる。

2007年に日本の任天堂も時価総額10兆円を超えて驚かされたが、現在は1.5兆円弱である。[日本企業の時価総額ランキング][http://info.finance.yahoo.co.jp/ranking/?kd=4&mk=1&tm=d&vl=a]をみれば、ソニーも1.4兆円程度である。

3.任天堂、パナソニック、三菱電機、ソニー、東芝の順に時価総額が大きいが、いずれも1.3から1.4兆円であるので、5社を合計しても7兆円程度とである。5社合計でようやく最近上場のフェイスブック程度という、情けない状況である。また、5社合計でも、アップルの4分の1にも届かない状況である。

ここから得られる知見は次のようになる。

1.日本には科学技術の戦略が貧弱だった。印象に残る未来予測を昔、文部科学省がおこなっている。1971年から約5年おきに30年後の予測を実施している。予測は医療や環境など12分野でおこなっているが、最も予測が狂ったのはIT分野であったと記憶している。インターネットの普及で未来の生活がどのように変わるかについては、現実が予測をはるかに上回って成長している。米国では、ゴアの情報ハイウエイ構想や電子政府が着実に実行される一方、我が国の歩みは、かけ声ばかりで、IPプロトコルを使ったネットワーク活用は遅れた。代表例が使い勝手の悪いe-Taxかもしれない。また、日本の通信関連企業も、IP網の技術開発では、グローバル化の流れに乗れていない。代表例は、ガラパゴス携帯やiアプリかもしれない。東大の猪瀬教授や石井教授は、「ガジェット」の重要性、「ウェアラブル」な活用の時代がやってくると、早くから予見された。しかしながら、日本ではIPプロトコル上でのアプリ、特にハードと一体となって、ストレッジや通信を管理し、ユーザビリティを高めるようなグローバルなアプリは、戦略不足か従来型ハード技術の抵抗があったのかうまくいかなかった。

2.日本企業は、ハードとアプリを統合したITサービスでグローバル化していない。昔、ソニーは、トランジスタやウォークマンなどガジェットに強かった。任天堂のDS、Wiiやソニーのゲーム機は成功例かもしれない。しかし、ユーザーの使うアプリの面では、統合サービスは目新しいものがない。技術の価値は、ハードからコンテンツに移っている。個別のゲーム機やカメラ・ビデオ機器などのハードだけでは、ユーザーニーズを満たすアプリがないと停滞してしまう。GoogleのGoogle+のサービスやアップル社のiCloudを使ってみると、アプリとハードの統合でどんなに利用環境が変わるか実感できる。日本発の技術にカーナビがあるが、この世界でもいまやグローバル化にアプリの面から遅れをとっている。Googleが日本中を駆け回って、ストリートビューを構築し、googleマップと統合させている間に、日本企業は、戦略なきまま、高級カーナビにこだわってきた。

3.コンテンツがアプリを生み、ガジェットを作り出す。メディアの世界では、写真やボイス、メールなどのテキストの利用ニーズが高度化している。いつでも、どこでも、誰とでも、何をシェアするか?。5W1Hが変わってきている。しかも、グローバルに使える機器の上でアプリを創造しないと、いずれ価格競争に敗れるであろう。カメラ・ビデオ、オーディオ機器、ゲーム機、携帯やルーターなどの通信機器のメーカーは、転換期にある。さらに、複写機、店舗用レジ、ATMなどもアプリの世界戦略が必要になっている。さらには、家庭や店舗のメーターや計測機器にもグローバル化が進む可能性がある。インターネットの技術を高度化させるためには、インターネット関連のアプリの技術を重視して、開発を進める必要がある。ハードにグローバルなアプリを統合していく時代が始まった。

最後に、気がつくことは、世界では食糧やエネルギーなどの資源が不足する傾向が強まり、ビジネスの眼は、資源・環境分野に移っているように言われるが、アップル社がエクソンを追い抜くように、先進国や途上国の購買力は、IT系にいまだ向かっている事実である。モノ離れである。あふれたマネーが投資機会を求めているなかで、成長するメディア系のサービスのニーズは強い。

経済学では、後進国ほど、収益性の高い投資機会にめぐまれるので、資金は発展途上国に向かいやすいとしているが、リスクも高いためか現実は、先進国にお金が集まってきた。悪い代表例が、サブプライムのバブル崩壊であった。

そして、アップルやフェイスブックの例でも、先進国やインド、中国などでのガジェット販売が急激に進んでいる。

日本は、機器の製造に強かったので、今後ともグローバルに使えるアプリやプラットホームを整備していく必要がある。日本でも海外でも使えるように、事前に計画しておくことである。誤った前例を見ると、絶望的にも思えるが、再び過去の未来予測の失敗を繰り返さないようにしたいものである。

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