福島原発その3:崩壊熱との長期戦:科学技術者の警告

3月25日は、地震発生から2週間にもなる。被災された方や現地で復旧作業にあたっている方々の心中察するに思いあまるものがある。
最近のTV報道は、もう通常の番組に戻り、ニュースも、1.水の汚染や大気中の放射線量、2.現地の感動話、3.計画停電や復旧活動 などが多くなり、原子炉の状況については、めっきり報道が少なくなった。一方、WEB上では、読売ニュースなどがオンラインニュースで、原子炉の状況を流しているので、TVは見なくなった。どこにリスクがあるかが判っていないようにも思える今日この頃です。
最近でも、原子炉の状況は、安定していない。(但し、27日に再び小康を得たので以下に追記)一時の海水の注水・冷却で小康を得たものの、リスクは高まっているかもしれない。崩壊熱が十分減るまでには数ヶ月から年単位の長期戦になる。1年経っても、現在の1/10程度の崩壊熱の発生があります。放射能も同様に長期間で減少する
原子炉の基礎知識(科学技術者の警告)を思い起こす必要がある。
最近の報道から事態を考えよう。

1.米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長は原発事故に関し「事態が悪化している」と指摘している。3.17
2.さすがの管首相も、12日間会見を拒否してきた原子力安全委員会の斑目春樹委員長と早くから50km圏まで避難した保安院の寺坂信昭院長を首相官邸に呼び、事故への対応について「もっと連携してほしい。よく連絡を取ってほしい」と指示している。(22日)
3.早くから今日の事態を予見警告していた原子力資料情報室は、「最悪の事態が生ずる可能性は否定できません。最悪の事態に至る可能性がある具体的な事象は、原子炉水位のさらなる低下による核燃料の溶融(メルトダウン)、大規模な爆発、使用済み燃料プールからの放射能大量放出などがあげられます。」としている。
4.班目春樹原子力安全委員長が、原子炉の設計の指針に誤りがあったと認め謝罪。(22日の参院予算委員会。)
5.原子力安全委員会発表のシミュレーションによれば、放射性ヨウ素の3月12日6時から3月24日0時までの「積算値」が、原発から30キロを超える南側のいわき市や北西側の飯舘村、川俣町でも100ミリシーベルトを超えています。
6.30キロ圏内の屋内退避を撤回して、自主避難とした。(本日25日の昼の枝野長官記者会見。)
7.国際原子力事象評価尺度(INES)での事故レベルについて、保安院はおくればせながら18日に、これまでのレベル4から、米国スリーマイル島の原発事故と並ぶ「レベル5」(広範囲な影響を伴う事故)に引き上げたが、原子力安全委員会は、スリーマイル超えレベル6相当の放射性物質が放出されたと推計している。(25日3時0分 朝日新聞報道)
1.から7.の報道から、炉の状況はむしろ不安定になってきたのではないか。(25日現在)
1号機は炉内温度が設計安全基準まで1時上昇し、宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子力工学)は「原子炉の上部と下部で同じ約400度を示したのは、燃料の上部が冠水していないというより、水がほとんど入っていないのではないか。圧力容器を壊すような数値ではないが、深刻な状況が続いていると言える」としている
3号機での直近の被爆事故は、作業員が被爆し、東電は3号機タービン建屋内にたまった水から高濃度の放射性物質が検出されたと発表(25日未明)
この事態に、専門家は、〈1〉原子炉建屋4~5階のプールに一時貯蔵している使用済み燃料が破損し、大量の放水とともに流れ出した〈2〉原子炉からタービン建屋につながる主蒸気配管を閉鎖する弁などに不具合が発生し、蒸気が少しずつ漏れている〈3〉大気に放出された大量の放射性物質が水に溶け込んだ――という三つのシナリオを指摘している。
黒煙発生後であるので、この関係を考えると、これは原子炉の弁の樹脂や電機系統の被覆が燃えて、格納容器が一部損傷し高濃度の炉内の放射性物質が、炉の外部に出ているか、下部のコンクリートのひび割れや配管系から、水と共に漏洩していると考えることも出来よう。
格納容器のドライベント(水を通さず、ガスを逃がし圧力を下げる。10倍高濃度の放射能がでる)ことも検討しているという。最後の砦である格納容器からドライベントで高濃度の放射性物質を放出させる事態は、周辺の作業を困難にして、崩壊熱との戦いに敗れる事態も招きかねない。
27日の報道で追記:小康
事態は深刻であったが、一安心している。水蒸気爆発やコアコンクリート反応が起こるような事態は回避できたように思える。(水たまりが教えてくれた!)
1,2,3号機の高濃度の水たまりの核種別濃度分析が教えてくれたことは、貴重に思えます。(早くから判っていたようなのに、何故分析が遅れたか?)
1、2、3号機とも、燃料棒の損傷・一部溶融・破損・格納容器からの漏洩が起きている。そして、格納容器の一部が壊れ、管路を通って海へ、ガス・蒸気とともに空中へ漏洩したようです。
1.大量に放射性物質が漏洩した。
(大気中の放射線の急増、海水のヨウ素濃度の測定結果、タービン建屋の水たまりの高濃度放射性物質より)
2.炉心で溶融が起きた。
(通常では考えられない高濃度の上記水たまりの水が1,2,3号機にあった。燃料棒損傷・溶融か)
3.しかし、格納炉の圧力は下がっているので、海水を水に変えて注水すれば、酷い事態は免れたようです。
あとは、注水の継続と安定冷却のための修繕が完了すれば大丈夫なようです。
ただし、燃料棒の水位低下が続いている–>汚染水が圧力容器から漏れ続けるので、大量の出続ける汚染水の処分が問題。注水しなければリスクが高まる。
現場技術者や作業員の奮闘に感謝しながら、祈っている。本日25日日立製作所、東芝、IHIなどのメーカーの方々が、電源復旧や海水くみ上げポンプの設置、注水作業を手助をしている。現場の技術者に期待している。
原子炉の基礎知識
1.崩壊熱は、莫大な熱量:たちまち水を蒸発させる
百万KW級で21トンの燃料の崩壊熱であり、石油換算で30万トンタンカー5隻分。熱量は巨大である。1年経っても、現在の1/10程度の崩壊熱の発生が続きます。
崩壊とともに、放射性ヨウ素も放出されるが、放射性ヨウ素の放出率は事故発生直後の12日午前6時から24日午前0時までの放出量を単純計算すると、3万~11万テラベクレル(テラは1兆倍)になる。
110万キロワットの発電能力を持つ原子炉を1年間運転すると、広島型原爆700発から千発分ぐらいのいわゆる死の灰が炉心にたまると言われております。
格納容器が最後の砦と言われる由縁です。
2.いつまで続くか。
避難も長引く。現在の避難範囲内は、数か月以上入れなくなるかもしれません。というのも、使用済み燃料の崩壊が、長期に亘ること。安定電源、ポンプ、水が確保されて安定冷却に入って、2週間程度は安心できないし、炉の破損によって蓄積性のある放射性物質の漏洩が続くことが予想されるので、容易に避難解除できない可能性が高いのではないか。放出量でみた事故レベルはスリーマイル島の事故よりも大きい可能性が高いことを忘れてはいけない。
「最悪の事態を想定して、避難する」との安全管理の立場からは、容易に解除できないと考えられる。
3.放射線量は等比級数的に減少する。
事務本館北川の放射線量の測定では、4日間で4000マイクロシーベルから2000マイクロシーベルに下がってきている。減少するも高い値である。
放射性ヨウ素の減衰曲線に近い。水位が下がって放出されたり、下部外壁や格納容器の損傷から周辺に撒き散らされなければ、減少は続く。

崩壊熱の推移:縦軸は熱量。横軸は時間、対数目盛

15.7:400:315:0:0:houkainetsu:center:0:0::
勇気ある科学技術者の警告
1.福島の炉心で何が起こっているか
石川 迪夫氏 日本原子力技術協会最高顧問)の記事が詳しい。
参議院議員会館での後藤政志博士(元東芝)
「福島原発の現状をどう見るか」の会見も重要です。
2.どの範囲まで避難すべきか。
飯田哲彦環境エネルギー研究所長と北村晴彦東北大学名誉教授の私信に基づく定性評価があります。
最悪事態が発生しても、現状の避難範囲の拡張的な見直しなどで済むとしている。
首都圏まからも避難などの事態はないとのことです。
3.崩壊のスピードは?
1-3号機についての推定値。崩壊熱は、停止直後は、運転時出力の6%との試算があります。1日経過後には運転時出力の2%を切りますが、そこからの減少ペースは非常に緩やかです。そして1年後には0.2%程となります。この崩壊熱が除去されない場合、核燃料は加熱を始め、ジルカロイ製の被覆管の急速な酸化(〜1200℃)、(同合金の)溶融(〜1850℃)、そして燃料自体の溶融(〜2400-2860℃)などの望ましくない事態が発生することになります。1号機の定格は460MWe。 2、3号機は784MWe。
こちらの資料が参考になります。
新たな知見と反省点
1、「念のため」ではなく、「最大のリスク事象を想定して、対策を立てること」
・炉の設計では、全電源停止を想定していなかった。(例:水素爆発、ドライベント用フィルターなど)
・原子炉の運用・管理面での安全技術が見当たらなかった。(東電の非常時の注水・冷却体制の不備、設計時の安全基準を超えた場合の運用手順)
・避難範囲も「念のため」ではなく、全電源喪失の事故と判った時点で「広域避難」を行ったほうが混乱は少なかったのでは?
2、国のリーダーや施設の管理者は、誰が正しい知見を持っているかを察知し、賢人の声に尋ね、耳を傾けるべし。
・緊急停止後の3月12日3時12分東電は、圧力急上昇を避け炉内注水を進めるため、弁を開くと発表している。ずいぶん遅れて、9時11分に保安院が第1第2号機の格納容器内蒸気を逃がす弁の開放を指示している。この時点で保安院の対応が後の禍根となっている。科学技術に従う(設計基準を超えた場合)ならば、損傷を避けるために即時開放ではないか。
・原子力情報委員会も、事故後情報発信が長らく行わなかった。保安院と原子力委員会の「炉は安全」の見解は、緊急停止後、全電源喪失の事態で崩れていたはずである。
・一方、早くから警告を発信した人も多い。前に引用した方々の非常時の勇気ある警告に耳を傾けるべきであった。
3.情報の小出しは、不信と対策失敗のもと
・東電も政府も、情報をすこしづつ出した。炉の圧力、温度、炉の破損状況などいまだに不明なものも多い。
・外国人向けの記者会見なども民間が主導するとも見える変則的状況
・ロンドンにおける保安院の各国外交団向けの技術説明会も放射能測定値のみで、資料不足で席を立たれる対応で不安をあおっている。どのような事象が起きたのかと因果関係を尋ねたのに対し、保安院の担当者は「因果関係を詳しく把握していない。調査した上で回答する」と述べたという。諸外国の方々が早く東京を離れたのも情報不足のため。
・政府見解とも言える保安院の事故レベルの評価も4->5->6と小出し。「放射性物質の漏洩」も測定値がでるまで言い出さない。
・重要情報の隠ぺいが、無用な不信と混乱を生む。
以上の知見は、新聞、オンラインニュースから確認したものです。
22:350:322:0:0:gennsiro:center:0:0::

27 thoughts on “福島原発その3:崩壊熱との長期戦:科学技術者の警告

  1. 1日で年間許容量超す!

    文部科学省は25日、福島第一原子力発電所の北西約30キロの地点で、23日正午過ぎからの約24時間に最高で1437マイクロ・シーベルトを観測したと発表した。
    年間に自然界や医療行為以外で人が浴びてよいとされる許容量1000マイクロ・シーベルトの1・4倍にあたるが、ただちに健康に影響する数値ではない。
    25日19時48分読売新聞

  2. 1号機真水注入!

    25日18時03分 読売新聞
    午後3時40分頃、仮設ポンプで原子炉内に真水を注入する冷却作業が始まった。3号機へも同様の方法で水を送り込む予定で、現在、切り替え作業を進めている。2号機では、別に設置した仮設タンクから給水する予定。

  3. 鉛入りの防護衣があった!

    25日19時42分 読売新聞
    小川勝也防衛副大臣は25日の参院外交防衛委員会で、自衛隊員が原発周辺で作業する際に着用する、放射線(ガンマ線)を防ぐ鉛入りの防護衣のセットを664点保有していることを明らかにした。

  4. タービン建屋の水の謎

    日経新聞夕刊によれば
    東電が3号機タービン建屋(原子炉建屋の隣)の地下階の水を分析したところ、放射性物質の濃度が1立方センチ当たり390万ベクテル!!であった。通常の圧力容器内の水でも数100ベクテルという。セシウム137なども検出された。
    保安院もプールでなく炉内から漏れ出したものとの見解のようです。
    何故、このような水が、隣接する建物の地下階にあったか?
    1.燃料棒の溶融が起こっていること
    2.地下の配管系から噴出した?
    3.あるいは、コアコンクリート反応がおこった?
    前記のMITの解説によれば、
    炉心溶融(メルトダウン)という言葉はジルコニウム合金の被覆管及び酸化ウラン(もしくは3号炉の場合には混合酸化物=MOX)の溶融を示します。スリーマイルアイランド事故のように、各種の障害により、これらの冷却手段が取れない場合、燃料棒は過熱して酸化ウランの融点、2400-2860℃(この数値は燃料棒の形成法、および運転履歴によって異なる)に達してしまいます。この時点で燃料棒はくずれはじめます。燃料棒が液状化してしまうと、崩れながら、したたり、炉心溶融物(溶けた燃料被覆管、燃料ペレット、構造体の混合物)として圧力容器内底部に溜まります。燃料棒が2400℃以上になると、それが圧力容器内に損傷を与える可能性が出てきます。圧力容器を形成する鋼鉄の融点はおよそ1500℃です。これに加え、問題の発生している圧力容器は海水の注入でより脆弱になっているかもしれません。海水内に含まれる塩化ナトリウムは鉄の侵食を速めます。とは言え、それが発生するのは通常は数週間から数ヶ月単位で数日ではありません。(TMIの場合、溶融された燃料棒は圧力容器内に保たれた。)
    炉心溶融物は(何度か事例がありますが)圧力容器底部をつき抜け格納容器のコンクリート基台に落ち、そこで拡散します。これにより格納容器内で、コンクリートと炉心溶融物は非凝縮性ガスを発生させますが、このプロセスはMCCI(molten-core concrete interaction)と呼ばれています。実験の結果、水冷を行うことが出来なくなった炉心溶融物、(つまり現在、福島第一原発で発生している事象に近い形)では、1分間に数ミリの割合で数メーター厚のコンクリートを浸食していくことがわかりました。
    またもし、炉心溶融物を冷やすために水が提供されており原子炉内底部に広がっていれば、コンクリート浸食の割合はさきほどの例に対して5-7%に低減され、さらにガスの生成が抑えられます。炉心溶融物には固体の外皮ができ、この外皮が壊れては再度形成されるため、浸食の速度は下がったり上がったりを繰り返します。
    数時間で外壁を浸食する???
    浸食を抑えるために注水が必要

  5. 3号機黒煙の謎

    なぜ黒煙か、なぜ圧力上昇後、圧力がさがったか?
    後藤博士の説明でも
    情報不足でよくわからない。
    露出している燃料棒がかなり融けている可能性が高い。
    格納容器の冷却機能が失われているのでないか。
    格納容器の内圧、温度が上昇した。
    温度と圧力上昇で
    電気配線、フランジの破損が起きたか。
    貫通部が破損。ガスケットのシリコンゴムが融ける。
    いずれにせよ漏れたか?
    水がなければ融けて落ちる。

  6. 1号機タービン建屋の水も高濃度

    25日23時48分 読売新聞
    東京電力は25日午後11時過ぎの記者会見で、福島第一原子力発電所1号機のタービン建屋地下1階にたまっていた水を分析した結果、1立方センチ・メートルあたり約380万ベクレルの放射性物質が検出されたことを明らかにした。
    3号機のタービン建屋地下1階にたまっていた水と同程度

  7. 配管から漏れ

    水たまりは、これらの系統のポンプや配管が集中する箇所の真下にできていたことから、東電では、ポンプ付近が漏えい場所とにらんで調査している。
    溶融物はまだ圧力容器内にとどまっており、一部がガスとともに水で冷やされ配管系などから噴出して水たまりを作ったのでしょうか。
    ポンプ、管路、動力源と真水が揃っていないと安定した冷却ができないので、修理や水の確保など何日かかるか?

  8. 不幸中の幸い

    炉は地震でも損傷なく生き延びた!!!
    1、緊急炉心停止が適切に行われた
    2.最初の一日で危険が 1/20 になった。
    3.その後、注水などで当初の崩壊熱も減少中
    4.避難が比較的順調に行われている
    不幸はすぐに分かった「全電源停止」=冷却機能喪失
    現在、放射線量が多く、安定化に時間を要する状況。
    福島原発の作業が円滑に進むことが最重要。
    作業従事者のために支援を
    カリフォルニア大学サンタバーバラ校 Ben Monreal 教授のわかりやすい資料があります。
    http://ribf.riken.jp/~koji/monreal.pdf
    のエネルギーを集中しよう

  9. 歴史:津波の高さ

    日本最大の津波高さ(陸遡上高)は石垣島 八重山地震・明和の大津波 28丈2尺(85.4m)(死者約12000人)。
    1896年 津波の最大波高 明治三陸沖地震津波 38.2メートル(陸遡上高) 岩手県綾里で津波の高さ38.2メートル、死者不明者22,000人
    1923年 関東地震 – 津波の高さ12m 数百人が犠牲となる
    1933年 昭和三陸地震 – 津波の高さ最大で28.7m 死者不明者3000人
    1944年 東南海地震 – 津波の波高は熊野灘沿岸で8メートルに達する。
    1946年 南海地震 – 津波は静岡県から九州まで来襲、最高6メートル
    1964年 新潟地震 – 津波規模2メートル。観測地点によっては4メートル。
    1983年 日本海中部地震 – 津波10m 犠牲者104人
    1993年 北海道南西沖地震 – 津波の高さ最大で30m – 死者不明198人
    2004年 スマトラ島沖地震 – 波高34 メートル 沿岸各国で 25 万人の犠牲者
    十勝沖地震 2003年9月26日 11km遡上
    2011年 東北地方太平洋沖地震 – 津波の高さ10m以上

  10. 歴史:東京湾・湘南の津波

    元禄関東地震(1703年12月31日)
    房総南部沖で発生(M8.2)
    東京では隅田川へ遡上し,本所・両国・深川で道路上に溢れ,1.5m と推定される.品川や千葉県浦安・船橋も町内へ遡上しており,2m 程度あったであろう.野毛(横浜)で
    は流失家屋があり,津波高は3-4mとみなされる.
    南房総の津波高は上総湊~館山間では5-10m に達し,外房沿岸と同じように突出している
    安政東海地震(1854年12月23日)
    遠州灘で発生(M8.3)
    浦安では,境川が溢れたとある.津波高は1m 程度と推定され,元禄津波より下回る.神奈川県下では生麦(横浜)で海岸に上がり,1-2m とみなされる.浦賀では床上浸水があり,3m と推定された
    伝播時間は三浦半島西岸で30 分,南房総では35 分
    関東地震(1923年9月1日)(M7.9)に伴う津波(m=2)は,鎌倉・熱海・伊東など相模湾沿岸に大きな被害をもたらした.
    各地の全振幅値は芝浦130cm,深川80cm,呉服橋50cm,千葉110cm,周期は約60 分である.幸い干潮時の津波であったので,市街地の影響は免れた.

  11. 歴史:東京湾央の津波

    相模湾や房総沖でM8級の地震が起きた場合でも東京での津波高が,2m を超える可能性は低いであろう.しかし長周期波が道路に上がれば,漂流物が交通障害になる.また地震で河川堤防や水門が決壊すれば,標高ゼロメートル地帯が長期間冠水する恐れがある。
    直下型の場合は、事例がない??関東大震災も震源は小田原沖のようです。
    1923年9月1日 関東大地震 M7.9
    地震と火災の陰にかくれているが、津波でも大きな被害があった。関東大震災による被害が重なり、津波だけの被害の詳細は不明である。関東沿岸に津波が来襲し、波高は熱海で12m、相浜で9.3mなど
    関東大地震による東京府内の消失家屋は37万7000戸、全壊家屋は2万戸余り。 これが神奈川県内では、全壊が6万3000戸、消失6万9000戸となっている。 とりわけ横浜の被害と、震源にもっとも近い小田原の被害は激甚である。小田原城の石垣はこの地震で大崩壊
    熱海では地震発生5分後に高さ2~3mの津波が押し寄せ、湾の奥では12mの高さまで波が駆け上がったところもある。また網代湾で7.2m。鎌倉6m。房総半島南端の布良(めら)にも6mの大津波が襲っている。

  12. 真水注入1,2,3号機

    26日11時18分 読売新聞
    原子炉内に真水を入れ始めた1、3号機に続いて、2号機でも26日午前、真水の注入を始めた。
    また、東電は26日、2号機でも原子炉から漏れ出たとみられる高放射線量の水を確認。水たまりは、1、3号機と同様に、タービン建屋地下にあり、原子炉につながる配管やポンプから漏れ出た可能性が高い。水たまりは、4号機でも確認されており、東電で分析する。

  13. 真水注入1,2,3号機

    26日11時18分 読売新聞
    原子炉内に真水を入れ始めた1、3号機に続いて、2号機でも26日午前、真水の注入を始めた。
    また、東電は26日、2号機でも原子炉から漏れ出たとみられる高放射線量の水を確認。水たまりは、1、3号機と同様に、タービン建屋地下にあり、原子炉につながる配管やポンプから漏れ出た可能性が高い。水たまりは、4号機でも確認されており、東電で分析する。

  14. どうする原子炉と周辺地域?

    安定化後、原子炉の閉鎖と冷却継続:5年以上の展望は?
    1.何年間も中間冷却の期間を置く
    2.放射能の飛散を防ぐ(覆う?テント、コンクリート構造物)
    3.避難の解除(汚染地域縮小)
    4.移住、生活支援、市町村行政の再編と再生プログラム

  15. どうする電力供給と政策

    原子力政策の見直し:展望は?
    1.供給不足の当面の解消策。(計画停電は続けられない?。ピークカット策・平準化策に移行か)
    2.料金政策見直し–>補償
    3.長期の原子力政策?(火力発電など)
    4.原子力産業政策の見直し
    5.国際的コミュニケーションと方向付け(原子力の国際相互依存)

  16. 1,2,3号機とも格納容器が損傷!

    3号機、1号機につづいて2号機でも原子炉から漏れ出たとみられる高放射線量の水を確認した。
    これらの水の放射性物質の成分からプールでなく原子炉からと報道されている。
    ということは、3つの炉のいずれも格納容器に何らかの損傷があるということである。
    格納容器が破損しないかぎり、炉内の物質が地下のタービン建屋の水たまりから検出されることはない。

  17. 1,2,3号機とも格納容器が損傷!

    3号機、1号機につづいて2号機でも原子炉から漏れ出たとみられる高放射線量の水を確認した。
    これらの水の放射性物質の成分からプールでなく原子炉からと報道されている。
    ということは、3つの炉のいずれも格納容器に何らかの損傷があるということである。
    格納容器が破損しないかぎり、炉内の物質が地下のタービン建屋の水たまりから検出されることはない。

  18. 現状が長期継続または悪化!

    3月26日現在
    まだ、確定的な報道はないが、個別の事実をつなぎ合わせれば、原子炉の状況は
    1.大量に放射性物質が漏洩した。
    (大気中の放射線の急増、海水のヨウ素濃度の測定結果、タービン建屋の水たまりの高濃度放射性物質より)
    2.炉心で溶融が起きた。
    (通常では考えられない高濃度の上記水たまりの水より溶融か)
    3、管路を通って海へ、ガス・蒸気とともに空中へ漏洩
    4.炉内に溶融物があり、格納容器が壊れている。
    ものと思われる。
    以上の4つの事態が現状である。
    しかも、1、2、3号機とも、溶融・破損・漏洩が起きている。
    ここ数日、放射線が強くなり、農業被害も報道されているが、漏洩を止めることは不可能であるので、最善でも現在の状況が当分続くと考えざるを得ない。
    注水・冷却を安定化することが急務であるが、長期にわたって、漏洩がつづき、崩壊するとはいえ、継続する流出で、放射線量は高まる恐れがある。
    屋内で、風向きに注意すべき、

  19. 幼児や妊婦を守る「管理区域」

    放射線管理区域とは
    1.外部放射線に係る線量については、実効線量が3月あたり1.3mSvと定められている。
    そこでは放射線で被爆する量を管理したり、健康診断をしたりする。避難区域外、例えば福島などでも、福島市においては毎時10マイクロシーベルトのレベルを超えていたが幸い19日以降、その水準を下回っている。
    しかし、長期間この水準を超えれば、管理区域になる可能性がある。

  20. プルトニウム検査せず

    03/27 11:52
    福島第一原発のタービン建屋内の「たまり水」について、原子力安全・保安院は、深刻な放射線障害を引き起こす可能性がある「プルトニウム」が含まれているかどうかを調べていないことを明らかにしました。
    (コメント)
    燃料棒が損傷し、一部溶融し、格納容器から漏洩したのですから、測らなくとも微量のプルトニウムが検出されるでしょう。
    重要なのは、漏洩しても、冷やし続けること。優先順位は、注水・冷却である。

  21. よかったね。直接大量放出回避

    よかったですね。
    溶融による圧力容器の底からの溶融漏れや水蒸気爆発、コアコンクリート反応などは回避できたように見えます。
    これで放射性物質の直接的な大量放出は回避されそうです。
    現場の努力に感謝!!!

  22. 大地震+人災

    池内了(総合研究大学院大学教授)
    科学者・技術者の社会的責任
    1.明晰でない政府や東京電力や原子力安全・保安院の発表
    2.政府が放射能と放射線の違いを意図的に混同させている(内部被曝となって、放射能が体外に排出されるまで放射線を浴び続けることになる。そのことは言わずにレントゲンと比較するのはごまかし。内部被ばくと外部からの放射線の違いを言わず、意図的ごまかし、あるいは無知)
    3.危険容量の規制値をいとも簡単に引き上げ(何のために危険容量の規制値が定められているのか)
    と言われた。
    (コメント):政府、行政の科学技術の軽視か
    ・安全基準の指針は原子力安全委員会の任務、指針が間違っていると、設計通り「停止」「冷却」できるように原子炉が作られても、「想定外」の一言で片付けられる(現に女川原発は、厳格に立地選定され今回の同程度の津波でも無事であったがこのことには触れたがらない。)
    ・炉の設計基準の圧力を超えても、まだ余裕があるとか、いまのところ重大な事態ではないなどとごまかしていた。(基準への無理解・軽視)
    ・「念のため避難(大丈夫と考えるが)」ではなく、「これこれの最悪事態の可能性がこの程度あるので避難」と説明すべし。
    ・「念のため葉物野菜の出荷規制」も説明不足。–>風評被害

  23. 14年前の警告

    石橋克彦神戸大学名誉教授の警告
    福島第1原発の事態を14年前に警告している。
    『科学』1997年10月号(岩波書店)掲載論文より
    「原発にとって大地震が恐ろしいのは、強烈な地震震動による個別的な損傷もさることながら、平常時の事故と違って、無数の故障の可能性のいくつもが同時多発することだろう。とくに、ある事故とそのバックアップ機能の事故の同時発生、たとえば外部電源が止まり、ディーゼル発電機が動かず、バッテリーも機能しないというような事態がおこりかねない。」
    「冷却水が失われる多くの可能性があり(事故の実績は多い)、炉心溶融が生ずる恐れは強い。そうなると、さらに水蒸気爆発や水素爆発がおこって格納容器や原子炉建屋が破壊される。」
    (コメント)
    まさに、今回発生した事態である。
    水たまりの水の成分分析で、燃料棒損傷と溶融が発生し、水素爆発も発生したが、幸い大規模な水蒸気爆発や格納容器の破損には至らなかったことが判ったと見なせる。
    この水たまりの付近の放射線量が高かったことは、早くから判っていたにも関わらず、報告と分析が遅れた。–>科学的想像力の不足。

  24. 2年前の警告

    3/26 22:48 共同通信
    2009年の審議会で、平安時代の869年に起きた貞観津波の痕跡を調査した研究者が、同原発を大津波が襲う危険性を指摘していたことが26日、分かった。
    東電側は「十分な情報がない」として地震想定の引き上げに難色を示し、設計上は耐震性に余裕があると主張。津波想定は先送りされ、地震想定も変更されなかった。東電の主張を是認した国の姿勢も厳しく問われそうだ。
    (コメント)
    科学技術者の研究からの警告が、無視されてている事例が多い。
    東電は、Q&Aの、「津波に対して発電所は大丈夫ですか?」 という質問に対して
    「津波評価においては、「安全設計審査指針」,「原子力発電所の津波評価技術」の考えに基づき、敷地周辺で過去に発生した津波はもとより、過去最大の津波を上回る、地震学的に想定される最大級の津波を数値シミュレーション解析により評価し、重要施設の安全性を確認しています。
    としている。
    (コメント)想定外の事態は「あり得ないので対策もない」との答え。津波による全電源停止の事態はあり得ないので
    1.外部予備電源なし
    2.ドライベント用のフィルターなし
    3.非常時冷却系の冠水対策なし
    4.冷却用外部用水も、予備の注水ポンプもなし
    5.余裕のある高所立地(女川のような)もなし
    ・激甚災害の場合、施設管理者(東電)の責任はあるが、保障などは国に期待か??

  25. 全国54基が電源喪失のリスク?

    30日08時36分 読売
    読売新聞社が、全国の商業用原発54基について調べたところ、津波の想定は最高でも北海道電力泊原発(泊村)の9・8メートルで、最も低い関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)は0・74メートルだった。
    各社は、非常用電源を置く敷地が津波の想定より高いことから「安全」と判断している
    (コメント)
    行政の安全指針の問題か?それとも、各社の立地など運用の問題か?