ロングテールの法則について

2006年8月の文芸春秋に、「検証 ロングテールの法則 WEB2.0: ビジネス法則は信用できるか」という東谷暁氏の記事があったので、読んでみた。彼のいうところでは、「この法則はまだ正しいかどうか検証されていない。少量多品種のロングテールを狙うネット通販が」、割のいいビジネス化といえばそうでもない。」と批判的である。そして、ピーター、マーフィ、グレシャム、マタイなどの多数の法則を列挙し、いろいろ解説されている。
しかしながら、残念なことに、ロングテールな現象にたいする、深い洞察はない。結論は、なんと 「ロングテールな現象もこれまでの方法論や旧来の法則から成り立っている」とのことであり、「リアルな世界と接続したネット・ビジネスはすでに経験済みのトヨタのカンバン方式や「重要な少数、役立つ多数」の法則が支えることになる」とある。デルのネット販売などは、トヨタのカンバン方式のであり、モジュール化して、トヨタ方式とネットを結んだ新結合にすぎないということである。


残念なことに、これでは、何故、どこにネット活用の影響や効果が出たか、その原因をどうみるかといった、因果の法則性の見方が示されていないので、何も新しい知見を感じれれない内容で残念でした。
オーソドックスに経済学の文脈に従って、ITの与える変化を考えてみれば、リアリティのある解説があると思う。
1.需要:デマンドの変化
本を売る場合でたとえてみよう。
需要関数とは、ある本の販売量(横軸)と価格(縦軸)の関係を示す。本屋で販売する従来の方法は、展示し、閲覧して、その場で購入する方式である。この場合、購入量は、本屋の周辺の人口や所得、それから本のコンテンツの人気(WillingnessToPay)の関数である。一方ネットで販売した場合の需要は、この空間的制約を受けず、世界中(日本語本は日本中)のサイトにアクセスできる人口の関数になる。販売対象の人口が急増することになる。
更に重要なことは、マニアックな本など、地域周辺では1冊置いても売れないような本も、対象エリアが広がることで販売可能になる。Yahooのアウトドア用品、釣竿や骨董品などのサイトの盛況ぶりでも判ることである。
空間密度を気にせずにグローバルに需要を扱えるという点が大きい
2.供給:コストの変化
本のコストは、著作権料、製本、展示(地代)、物流コスト、店舗人件費がある。本屋で売る場合、売れる確率の低い本は、展示コスト、人件費、返本のコストなどが高くつくので、販売ルートに乗せられないことになる。
供給コストと販売量の関係を表す供給曲線からみても供給しにくいことになる。
良く売れる少数の本を置くことになり、巨大な本屋は成立しにくい。ネット販売の場合、展示コストはWEB上のDBであり安価で、店舗人件費や地代の節約ができる。Amazonのように参加させて晒す技術も出てきた。一方、巨大な物流センターをおくことで、物流コストは避けて通れない。
ここでも重要なことは、物流の効率化を図ることで、需要密度の低いバラエティのある本の販売コストを大幅に低減できることである
さらに、重要なことは、地図の制作の現場ではすでに人件費の安価なアジア諸国で、デジタイジングが行われているし、大量生産の手帳なども、中国や地方で生産が行われるようになったことである。紙、版下作り、デザイン、著作の国際分業も行われるコスト構造の再編成が行われだしている。投入・産出(InputOutput)構造の変化である。
ロングテール現象
このように事例を観察すれば、ネット販売によって、リアルな本の世界でも、ITによって、ロングテール現象が現れている理由が、はっきりしてくる。
Netを活用することで、需要の空間密度の制約から解放され、バラエティのあるコンテンツの供給を安価にできるようになることで、「少量しか売れない多数の本が売り上げの多くを占めて取り扱われるようになった」(ロングティルの法則)のであろう。
とすれば「グローバルな販売」「グローバルな投入・産出構造の最適な再編成」「物流の効率化」の3点セットがかみ合って実現されてきた。おかげで、世界に技術集約的パーツ(例えばシマノの自転車部品)を販売する企業が元気になり、組み立て型のパソコンや家電はアジア諸国が優位になってきたのも、良くわかる。
デルの通販がカンバン方式かどうか知らないが、大量のパーツをグローバルに分担し、組み立てて世界に売る方式は、昔から多くの産業であったが、やはりそのスピードとダイナミカルな需要へのトラッキング能力が問われる今日この頃である。
最近、地域でメッキリ少なくなった店舗、大規模小売やネット販売に移行したものをみればよく判る。
・本屋
・洋品店
・金物屋さん
・DPE
・化粧品
・釣具屋
・カメラ屋
・お茶屋
などなど
最近 Googleについて、つまらないオモチャみたいなWebアプリで収入を得ているのにもかかわらず、バブルで株価ばかりupした会社ではないかと悪口をいう方もいらっしゃる。しかし我が家では、ときどき広告料の送金がある素晴らしい会社です。Googleは消費者や小企業のIT参加を促す仕掛けを良く考えている。例えば、GoogleAPI
ページのアクセス情報や広告のクリック数を集計し、注文に応じて、値段をつけ、登録HPの所有者に送金するというグローバルなビジネスを行っている。
これは、「グローバルPOS」ともいえるし「グローバルランキング」ともいえるし「グローバルNet決済システム」とも言える。
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投稿者: tokyoblog

Dr of Systems Scyence